自転車を解体せずにそのまま車内へ。サイクリスト専用列車「B.B.BASE」の銚子コースで房総サイクリングを体験してみた

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今年1月6日より運行がスタートした「B.B.BASE」(房総・バイシクル・ベース)は、JR東日本千葉支社が誇る最新のサイクルトレインです。東京・両国駅と千葉県の人気サイクリングスポットを結ぶ4つの運行区間のうち、九十九里浜の大海原を眺めながらのサイクリングが堪能できる銚子コースを試してみました。

文・写真:大屋雄一、写真:小見哲彦、構成:スポーツエントリー、提供:JR東日本千葉支社

 

目 次

  1. サイクリング専用列車“B.B.BASE”とは?
  2. 輪行フリーで両国駅に乗り込む!
  3. まさに移動基地!車内空間を詳細レビュー(動画あり)
  4. いよいよ銚子ライドスタート。”あの作品”の名場面を巡る
  5. ゴールの銚子駅はお楽しみがいっぱい
  6. 輪行旅よりお得かも。料金比較以上のメリットを実感
  7. B.B.BASE利用方法のおさらい
  8. おまけ

サイクリング専用列車“B.B.BASE”とは?

B.B.BASE外観
鉄道を利用して自転車旅を楽しむ手段として「輪行(自転車を解体し、専用の袋に入れて運ぶこと)」が広く知られていますが、解体せずにそのまま自転車を持ち込めるサイクルトレインというサービスもごく少数ながら存在します。JR東日本が運行を開始したこのB.B.BASEもその一種ですが、これまでのサービスと決定的に異なるのは、車内にサイクルラックを備えるなど、サイクリストの移動基地として専用に改造されている点です。

この6両編成、全99席の車両を利用したツアーが東京・両国駅発着の日帰りまたは宿泊付きの「びゅう旅行商品」として販売されています。運行区間は内房、外房、佐原、銚子行きの4つがあり、今回は関東平野の最東端へと向かう銚子コース(日帰り)を購入しました。銚子駅まで直通するこのコースは、手前にある松尾駅または干潟駅で下車するという選択も可能。いろいろ迷った揚げ句、日本の渚百選にも選ばれている九十九里浜を眺めながらのサイクリングを楽しもうと、今回の旅では松尾駅で下車することにしました。

輪行フリーで両国駅に乗り込む!

スポーツサイクル歴10年以上の私。遠方へのサイクリングやレース参戦時にはもっぱらクルマを利用しています。輪行の経験もありますが、解体や組み立て、運搬時にどうしても車体に傷が付きやすく、また混雑した時間帯を避けなければならなかったり、服装に気を配る必要があったりと、最近はめったにしていません。

そんな私だからこそ、解体せずに自転車を持ち込めるB.B.BASEは興味あり。発着駅の両国駅までは自宅から13kmほど。自走で小一時間ぐらいでしょうか。この日の電車の出発時刻は8時12分なので、余裕を持って6時半すぎに自宅を出ました。

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両国駅に到着し、西口の改札付近で、“B.B.BASE GATE”と書かれた案内を発見!

両国駅ホームへ向かう
これをたどっていくと……。

専用ゲート入り口
B.B.BASEのゲートが現れました。一般の改札口ではなく、専用の入り口で乗車票を見せてからホームに入れます。

専用スロープでホームへ
専用スロープでホームへ。勾配が緩いのでクリート付きのシューズでも楽に上れます。ちなみにホームまでのアプローチに階段は一切なし。B.B.BASEに乗車するまで自転車を担がなくて済むなど、安全を第一とするサイクリストへの配慮がうれしいですね。

スペシャルな外観!
ついにご対面! 車両は209系をベースに自転車専用電車として改造したもの。B.B.BASEのコンセプトである“基地”をイメージしたグレーを一面に広げ、その上にロードバイクのイラストやロゴが大胆に描かれています。このスペシャルな外観は、鉄道マニアならずともテンションが上がります。

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かつてはターミナル駅として活躍していた両国駅。B.B.BASEの発着に開放される“幻の3番線ホーム”は、房総方面への始発駅として使われていたそう。

駅員さんと記念撮影
駅員さんが気軽に記念撮影に応じてくれました。居合わせたお客さんとパチリ。

ホームの表示
ホームの床には車両番号と座席番号の表示もあります。

まさに移動基地!車内空間を詳細レビュー(動画あり)

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いよいよB.B.BASEに乗車します。自分の指定席の背面にサイクルラックがあります。まずはイラストで搭載方法を確認します。


非常に簡単でした! 慣れれば10秒もかからなそう。


サイクルラックのアップです。ステンレス製の板材は厚くて剛性があり、このようにスムーズに可動します。

ラックに搭載完了!
ラックに搭載完了! 車内はこのように広々としており、自転車の取り回しに困ることはありません。また、大型のサドルバッグを装着したままでも搭載可能です。

ラック搭載(前輪)
自転車とラックが接しているのは前後のタイヤのみ。フレームやホイール、ハンドル、サドルに傷が付くことはありません。また、ディスクブレーキでも問題ないですね。

ラック搭載(ベルト固定部分)
ダウンチューブをベルトで固定するのを忘れずに。

ラック搭載(後輪)
リアホイールは床から浮いています。なお、このサイクルラックに搭載可能な自転車の各部寸法は以下の表の通りです。

搭載可能な自転車
ラック搭載(後輪)

タイヤサイズ 18~29インチ
タイヤ幅 49mm以下
ハンドル幅 600mm以下
重量 15kg以下
前輪とダウンチューブの
隙間
20mm以上
ホイール
ベース
18~21インチ 1,060mm以下
22~25インチ 1,100mm以下
26インチ 1,110mm以下
27.5~28インチ・
700C
1,130mm以下
29インチ 1,180mm以下

引用 http://www.jreast.co.jp/chiba/bbbase/train/

B.B.BASEは下のように6両編成になっています。座席はむかいあわせの4人ボックスシート、2人ボックスシート等があり、グループでもソロでも利用しやすい設計です。また、指定席のないフリースペース(後述)が4号車にあり、グループでのオフ会などにも使えます。

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> 座席表詳細はこちら(B.B.BASE公式サイト)

特殊な床材
車内はクリート付きのシューズでも滑りにくいよう特殊な床材が使われています。

モノトーンで統一された車内
モノトーンで統一された車内。つり革をはじめ、中吊り広告などが一切なく、通勤電車としての面影は網棚に残るのみ。移動基地というコンセプトが徹底していますね。

シート
シートは、その背面にサイクルラックが設置されているのでリクライニング機能がありません。とはいえ、背もたれが非常に高く、ヘッドレストの位置を自由に上下させられるので、座り心地は悪くありません。また、汚れをサッと拭き取れる特殊な素材が使われているのもポイントですね。車内販売はないので、出発前に飲食物を用意しておくのがお勧めです。

テーブル
しっかりと設置された各テーブルにはAC100Vのコンセントがあります。スマホをはじめ、ヘッドライトやサイクルコンピュータなどの充電に重宝します。

フリースペース
4号車はフリースペースです。その名の通りサイクリスト同士の交流など自由に利用できます。

洗面台
4号車には洗面台が2基設けられています。特に夏期はありがたい設備ですね。

トイレ
トイレは2号車と4号車にあります。広々としていて使いやすかったです。

いよいよ銚子ライドスタート。”あの作品”の名場面を巡る

松尾駅
両国駅を出発して約1時間半。あっという間にJR総武本線の松尾駅に到着しました。ご覧のように歓迎ムード一色です。

松尾駅に降り立つ
松尾駅に降り立つ私。停車時間は20分ほどと長いので、慌てなくても大丈夫。電車が停止したのを確認してから自転車をサイクルラックから降ろしましょう。

黄色い法被のスタッフ
「ようこそ銚子へ」と書かれた黄色い法被を着たみなさんがお出迎えしてくださいました(銚子市産業観光部と銚子商工会議所の方とのこと)。

銚子の名産セット
銚子の名産セットをいただきました! サコッシュなどを用意しておくことをお勧めします。

松尾駅の駅舎内
松尾駅の駅舎内でサイクリングの準備をします。この駅もホームから改札、そして駅外までの間に階段がなく、自転車を担ぐ必要がありません。

走行ルート


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>ルートラボでみる

B.B.BASEの公式サイトでは、ロング、ミドル、ショートという距離別のモデルコースが紹介されており、今回はロングコースのデータをスマホにDLし、それをトレースしてみることにしました。なお、あらかじめ郵送される最終行程表には、B.B.BASEの利用者ならさまざまなサービスを受けられるサイクリスト応援店の一覧表があるので、それを目安にルートを組んでみるのもいいでしょうね。

オライはすぬま
松尾駅から6kmの距離にある「道の駅オライはすぬま」です。ちなみにオライとはこの辺りの方言で、オラ=私の、イ=家、という意味だそう。

ソフトクリーム
ここもサイクリスト応援店のひとつ。特典は濃厚で美味しいと評判のソフトクリームが50円引き!

と蓮沼海浜公園の展望台
松尾駅から7.8km。の蓮沼海浜公園。公園管理事務所ではB.B.BASEのお客さんに、フロアポンプの貸し出しを行っています。九十九里浜を眺めようと展望台まで上ってみたのですが、あいにくの天候で水平線は見えず。

雨のサイクリング
レインウエアなどを着ていれば、雨でもサイクリングを楽しめるものです。ただ、この日は雨に加えて気温も低めというコンディション。帰りの列車でB.B.BASEで来てヨカッタと痛感するのでした(後述)。

刑部岬
九十九里浜の北端、刑部岬(ぎょうぶみさき)が見えてきました。ここまでの移動距離は30kmほどですが、当日は気温が低く、体温を上げるために予想以上にカロリーを消費したようで、早くもお腹が空いてきました。

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サイクリングロードを離れ、県道30号線(九十九里ビーチライン)沿いにある「つちや食堂
」へ。ここは人気ドラマ『孤独のグルメ』に登場したことがある有名店。劇中において主人公の井之頭五郎はサンマのなめろうと蛤の酒蒸しを食したとのこと。俄然テンションが上がります!

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刺し身定食をいただきました。黒板に書かれたネタの中から好きな二品を選ぶというシステムで、私はマグロ(赤身)とブリをチョイス。箸の先にズッシリ重さを感じるほどの分厚さながら、口の中に入れると身がほどけるように溶けていきました。都内でもこれだけ上等な刺し身にはめったに出会えません。これで何と950円!

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腹ごしらえが済んだので先に進みます。県道30号線から国道126号線に入ってすぐに見えてきたのがこの標識。右折してみましょう。

激坂
右折した途端、こんな激坂が! ここまで平坦だったので、いいアクセントになりました。

飯岡灯台
刑部岬に立つ「飯岡灯台」に到着。ここは岩井俊二監督のテレビドラマおよび映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の重要な舞台となった場所です。なお、この作品はアニメ化もされており、そちらではこの先向かう犬吠埼灯台が使われた模様。

エイドステーションステッカー
飯岡刑部岬展望館はB.B.BASEのエイドステーションにもなっており、フロアポンプが利用できます。パンク修理の際、携帯ポンプだけでは高圧にできなかった時など、非常に助かりますね。

犬吠埼灯台
ついに関東の最東端、「犬吠埼灯台」に到着! 途中であちこち寄り道したため、松尾駅からここまでの走行距離は50kmを超えていました。ずっと雨に降られていたこともあり、達成感はひとしおですね。そして、この辺りからB.B.BASEでやってきたであろうサイクリストたちとすれ違うようにもなりました。

屏風ヶ浦
天気に恵まれるとこんな屏風ヶ浦も望めます。

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犬吠埼灯台から約5km移動し、銚子漁港にある「ウオッセ21」へ。ここはB.B.BASEの銚子コースにおいて必ず立ち寄るべきスポットです。なぜなら、この旅行商品にはバウチャー券としてウオッセ21の各店で使用できる1000円分(500円×2枚)のお買い物券と、ウオッセ21内にあるショップ「海風」で銚子サイダー1本と引き換えられる券、さらには隣接施設の銚子ポートタワーの入場券が付いているからです。

ウオッセ21内観
もちろん私は、バックパックの空き容量と相談しつつ、しっかりお土産を買い込みました。B.B.BASEのお客さんも多かったですね。

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ウオッセ21に設置されているサイクルラック。「いやぁ、予報と違って雨が止みませんでしたね」「あまりにも寒いんで、途中で温泉に入っちゃいましたよ」なんて会話が弾むのもサイクリスト同士だからですね。

銚子漁港
年間水揚げ量で常に上位にランクされる銚子漁港。ゴールの銚子駅まではもう2~3kmですが、気を緩めずに進みましょう。

ゴールの銚子駅はお楽しみがいっぱい

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ゴーーール! ついに銚子駅に到着しました。なお、駅舎は改装中で、もう間もなく完成とのことです。

サイクリスト到着!
続々とやってくるB.B.BASEのお客さん。寒い中お疲れさまでした!

サイクルラック
銚子駅のB.B.BASE専用ゲートの脇にはサイクルラックが設けられており、ここに預けておけば手ぶらで銚子駅周辺のショッピングを楽しめます。

ドリップコーヒー
まずは駅にある観光案内所でドリップコーヒーをいただきます。

お土産セット
松尾駅でもらったお土産セット、その中にドリップコーヒーの無料引換券が入っていました。冷え切った体にこのサービスは本当にうれしかったですね。

ぬれ煎餅イシガミ駅前店外観
銚子と言えば「ぬれ煎餅」は外せません。写真は「ぬれ煎餅のイシガミ 駅前店」ですが、近くにある新生店(せんべい館)の方もサイクリスト応援店。どちらのお店もB.B.BASEのチケット等と一緒に受け取る「最終行程表」を提示すればぬれ煎餅かぬれおかきを1枚もらえます。

定番ぬれ煎餅
焦げる直前まで焼いた煎餅を熱いうちに醤油にくぐらせて作るのが、銚子名物のぬれ煎餅です。イシガミさんは国内産上質うるち米のみを使用し、しかも1枚ずつ手焼きという手間のかかった商品です。

植田屋
植田屋」さんもサイクリスト応援店のひとつ。お土産500円以上お買い上げでわかめ、のり佃煮をサービスしてくれます。

木の葉パン
植田屋さんの店先で売られていた、これも銚子名物の「木の葉パン」。山口製菓舗のそれはパン酵母を使用して長時間熟成発酵させており、また千葉県産の卵を使用しているなど、お子さんへのお土産にぴったり。

セット商品色々
ドリップコーヒーをいただいた観光案内所ではこんなセットも販売されていました。あまり多くの荷物が持てないサイクリストにとって、銚子のさまざまな名物をまとめたセットは願ったり叶ったりですね。

銚子駅でのお見送り
名残惜しいですが、16時58分、いよいよ銚子駅を出発します。駅ではこんな粋なお見送りも。またこの地を訪れたいと強く思う瞬間です。

輪行旅よりお得かも。料金比較以上のメリットを実感

銚子駅でいただいたお土産
銚子駅を出発する直前、駅員さんからこんなお土産をもらいました。B.B.BASEのクリアファイルに反射ステッカー、紅白のお餅です。ステッカーはよく見ると銚子コース限定、コンプリート欲をそそられますね。

さて、両国駅までは2時間半の電車旅となります。車窓を流れる千葉の夜景を眺めながらB.B.BASEでのサイクリングを振り返り、非常に満足していました。

まずは料金について。B.B.BASEと限りなく条件を揃えた場合(特急列車利用など)と比較してみました。

通常の特急列車利用の場合
往路 両国駅から松尾駅:錦糸町駅→千葉駅間 総武線快速グリーン車利用
両国駅→(JR中央/総武線)→錦糸町駅→(総武本線快速)→千葉駅→(JR中央/総武本線)→松尾駅
1,890円
(切符購入)
復路 銚子駅から両国駅
銚子駅→(特急しおさい12号)自由席→錦糸町駅→(JR中央/総武本線)→両国駅
3,280円
(切符購入)

上の条件で往復の合計金額は5,170円です。B.B.BASEの銚子コースは、松尾駅で下車した場合の基本代金は6,500円ですが、この旅行商品に付いてくる各種バウチャー券を全て使い切ればこちらの方がお得だと思います。それに、B.B.BASEは乗り換えがないので、疲労度の差は圧倒的でしょう。

それよりも、B.B.BASEに最も魅力を感じたのは復路です。今回のサイクリングでは終日冷たい雨に見舞われてしまい、普段以上に疲労した上、特に手足がかじかんでしまいました。もちろん自転車はドロドロで、ウエアもしっかり濡れています。これが一般的な輪行旅であれば、そのかじかんだ手で自転車の汚れを多少落としてから解体し、輪行袋に入れなければなりません。また、他の乗客の迷惑にならないよう、ウエアがある程度まで乾くのを待つか、着替えを用意する必要があったでしょう。

B.B.BASEなら汚れたままの自転車をそのまま搭載できますし、また乾いていないウエアでシートに座っても、特殊な素材が使われているので水分が染み込むことはありません。それに、先ほど挙げた面倒な作業を一切しなくてもいいので、出発時刻ギリギリまで観光やショッピングを楽しむことができます。

B.B.BASEは価格以上の満足度が得られる旅行商品。これが実際に日帰り銚子コースを体験した私の結論です。そして、内房や外房、佐原など、他のエリアにもB.B.BASEで足を運んでみたいと思いました。

なお、注意点としては、パンクなど何かしらの理由でB.B.BASEの出発時刻に間に合わなくなることも考えられるので、念のために輪行袋を携行した方が安心ということ(JR東日本でも持参を推奨しています)。

B.B.BASE利用方法のおさらい

さて、今回私が経験したB.B.BASEの銚子コースは、運行スケジュールが決定している3月までに、2月17日(土)と2月18日(日)、3月31日(土)の3回実施されます。

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切符はびゅう旅行商品として販売され、インターネットや電話での申し込みであれば購入後乗車券など一式が郵送で届きます。乗車券はもちろん、最終行程表も現地で提示していろいろなサービスが受けられるので携帯を忘れずに。また出発の5日前までに申し込む必要がありますのでご注意を。

バウチャー券

申し込みは下記へ。

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> えきねっと商品取り扱いページ

おまけ

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最後に。復路の車内でアンケートを記入したところ、サイクルジャージのバックポケットにちょうど収まるサイズの財布をプレゼントされました。これは先着順で配られるとのこと。欲しい方は早めにB.B.BASEを予約し、房総でのサイクリングを楽しんでください!

> B.B.BASEの公式サイト

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