11月4日、「復興支援ふたばサイクルロゲイニング」が実施されました。本イベントは福島県ふたば地域を舞台に行われるサイクルロゲイニング。今回、スポーツエントリ―が実際に現地に赴き、前日と当日の2日間の様子をイベントレポートで皆さんにご紹介いたします!
目 次
- 復興支援ふたばサイクルロゲイニングとは?
- 上野駅からサイクリング列車出発!こんな電車の使い方初めて見た!!
- 前日は試走&前夜祭。足と目と舌でこの地域を知る!
- いよいよスタート!チェックポイントにあったものとは?
- 名残惜しいお別れ。「また来年!」
- イベントを終えて感じたこと
復興支援ふたばサイクルロゲイニングとは?
福島県の太平洋に面した「浜通り」と呼ばれるエリアの南側、楢葉町を中心に富岡町・広野町・川内村を舞台に、制限時間内にチームでチェックポイントを巡って獲得した点数を競うゲームです。チェックポイントでは指定通りの写真を撮るか、体験するか、付近に設置されたQRコードを専用アプリで読み込むことで加点されます。
関東からの参加者が多いため、イベント前日に上野駅から発車する特別列車と宿泊がセットとなったサイクリングツアーもあります(現地参加もあります)。
上野駅からサイクリング列車出発!こんな電車の使い方初めて見た!!
まずは朝7時半上野駅入谷改札前に集合。
このイベントのために上野駅から福島県の竜田駅までのサイクリング列車が特別運行されます。
集合場所までライドしてきた参加者は、ここで前輪を外して輪行の準備。
改札口横のゲートを特別に開けてもらって、サイクリング列車の乗り入れる16番線へ。
到着駅の竜田まではノンストップ。ついたら駅から試走が始まります。
電車で食べるお昼やおやつは構内のいくつかのお店で調達できました。
16番線に到着したサイクリング列車。
イベントに参加するライダーのためだけにホーム1つ貸し切り、というのは何とも贅沢!
行き先表示「団体(party)」って書いてある。パーティーなんすね!レッツラゴー♪
輪行自転車専用の車両内が面白すぎです。
この電車、10両編成のうち、5両は自由に行き来ができ(トイレもあります)、うち2両が輪行用自転車を移送するために利用。自転車は各持ち主によってバンドなどで手すりに固定しています。
「電車での輪行」って一般乗客の方に気を遣ったり、混んだ車内だと肩身の狭いイメージありますが、ここでは自転車がのびのびスペースを占領。
電車が動き出すと皆さんお弁当を広げ、車内は「大人の遠足」みたいになってきております♪
月曜提出する宿題を広げている高校生も。えらいな!
今日だけは座席をカウチソファみたいに使ってみたりして。
出番を待つ自転車たち。上野駅を出て1時間半もすればすっかりのどかな景色。
しばらくすると水平線が見えてきました。
海が見えるとウキウキしてきます。
到着までの時間を使って、サイクルロゲイニングのアプリをインストール。
チェックポイントを確認しながらコースの戦略立てが始まりました。
向かい合わせボックスシートは作戦会議の陣地に早変わり(四人1組の即席チームが組まれます)。
14時過ぎ、竜田駅、到着!
主催者の一人、野田さんがお迎えしてくれました。
自転車をおろし、駅の前で組み立て。
いよいよここからは自走で、明日の主要エリアを下見に試走コースを走ります。
皆さん準備万端!
わたしもレンタサイクルで参加!実は初サイクルイベント、しかもいきなり撮影取材のミッションつきと、かなりハードル高めですが、頑張ります!
前日は試走&前夜祭。足と目と舌でこの地域を知る!
試走は3ルートに分かれ、好きなものに参加することができます。(集合時間まで各チームでの行動でもOK)
この日の気温は最低8度、最高18度。日差しが明るく、木陰は涼しい最高のサイクル日和!
防寒に持ってきたダウンベストは朝夕だけ使いましたがこの試走は長袖1枚でちょうど快適でした。
私が参加したのは一番チェックポイントが凝縮しているメインエリア「ならは」地区。
通りが広くて見通しが良く、都心よりずっと走りやすい印象です。
仮設住宅エリアに立てられた新しい住宅やコミュニティ施設。
試走のリーダーが、街の見どころを丁寧に説明してくれます。視線の先には木戸城の模型。住民の手作りだそう。
津波被害の整備のため、いまだ通行止めの道路も確認しました。
今年6月にできたばかりのマーケット。今日の宴会の買い出しです♪
竜田駅から北上し、海が一望できる天神岬へ。
遠くに見えるのは広野火力発電所。
「この展望台からの景色って、山に囲まれた平野から海まで、道路や線路も一度に見えて、まるで箱庭みたいでしょう。まだまだ復興作業は現在も行われているのだけれど。」とガイドライダーさんのお話しされていました。
日暮れが美しい浜通りのランドスケープ。その中に黒い土嚢が積み上げられています。
このエリアが震災後、どのように立て直しがすすめられているか、役所の方からお話しをうかがうことができました。この街の人にとって、復興作業は日常なのだと実感することがきでました。
天神岬の展望台からほど近い「サイクリングターミナル 天神の宿」に到着して試走はここで終了。
上野から来た参加者はここに宿泊することができます。
私が確認できたアメニティは:歯ブラシセット、タオル大小、浴衣、ドライヤー、Wifiなど。
大浴場の露天風呂は太平洋を一望でき、水平線から登る朝日の眺めが絶景なのだとか!
是非とも早起きしたい…。
各自の自転車は1階の大きなガレージに保管。
試走の汗をお風呂で流して、明日に備えて前夜祭で腹ごしらえ。
地元でとれた素材のお料理とお酒が並びました!
シシャモより脂が乗ってふっくらジューシーな「メヒカリ」はこの地域を代表するお魚。
テーブルの上のお料理、サーモンピンク色のお料理が多いのは、鮭の漁場が近くにあるから。
サーモンマリネやイクラと鮭の混ぜごはんなど豪勢!そして新鮮!全部うまい!
米どころ福島の日本酒や米焼酎もしっかりいただきました!
さらに二次会は12時頃まで和気あいあい続きました。
いよいよスタート!チェックポイントにあったものとは?
翌朝、奇跡的早起きしたので、天神岬をお散歩していたら見えた朝日。(これはお風呂で見なければ!)と急ぎ引き帰しました。
朝ごはんを済ませたら、いよいよ「復興支援第1回ふたばサイクルロゲイニング」本番。
スタート前のライダーたちの記念撮影!
お天気も良くて、スタッフの皆さんもうれしそう。
昨日のアプリで競技開始のためのQRコードを読んだら、ゲーム開始です!
今回のチェックポイントはなんと全部で60箇所設定されていました。
「1日ですべて回りきれるかも、と思われる数では、自然とスピード重視になってチェックポイントを楽しむ余裕がなくなるでしょう。”絶対1日では回り切れない”膨大なチェックポイントを設定することで、それぞれがどこに行こうか選んで、自分のペースでチェックポイントを楽しんでもらいたいんです。」と、主催者の野田さん。
何度も下見や調整を行い、地域を巡り倒してこの企画を作ったのだとか!
おっしゃる通り、アップダウンの激しいハードなコースも平坦なコースもあって、「やってみる」系のチェックポイントまで、バリエーション豊富。べテランガチライダーも、初サイクルイベントの私でも、それぞれに楽しめるようになっています。
私もアプリをインストールして、主要ポイントをいくつか巡ってみることにしました。スマホ充電用の電池パックをお守りに持ってくればよかった…。
まず向かったのは最も近いコミュニティ施設『ならはCANVAS』。
ここで出会ったペアチームのお二人にお願いし、チェックポイント「大銀杏の木」まで同行させていただくことに。
「あっちの道かな?こっちかな?」と探検気分で進みます。
坂を上った先にあるひっそりとしたお寺。手入れされたお庭に灯篭が並ぶ境内。人影もみあたらず現実離れした雰囲気…。
大銀杏の木を見つけました!本当に大きい!
お寺の方にうかがったところ、なんと樹齢880年なのだとか…!
美しいお庭の静かな空間が名残惜しいけれど、次のポイントに向かいます。
次のチェックポイントの横には、使われていない保育園がありました。
草ぼうぼうの遊具を眺めていると、昨夜、前夜祭で「子供の帰化がこれからの課題」とお話された楢葉町長の言葉を思い出しました。
当日のみ設置される「かかし」もチェックポイント。5体とも見つけるとボーナスポイントがもらえるのだそう。
次に訪れたのは民家。福島産のお米『天のつぶ』を自分で握っておむすびが食べられる体験系チェックポイント!
五升のお米!見応えあります。
おむすびの中身の具も、すぐそこの木戸川で採れた鮭を始め、地元産の食材が揃っています。
ちょうどお腹減ってたんだよねー!ライドの補給にはうってつけ!
お米が甘くて、白飯だけでもウマい!
軒先きをお借りしておむすびを作れるなんて、楽しい♪
今回、最も美しい出来栄えのおむすびは女性ライダーさん作!
地元生産者の皆さんと一緒に。「ごちそうさまです!」
小腹を満たした後、走ること約25分。木戸川につきました。
ここは「鮭の簗場(やなば)漁」というチェックポイント。上がってきた鮭を掴み取りし、写真を撮るとポイントが付くという、なんともワイルドな体験ができるのだとか!
目安の時間はあらかじめアナウンスがあるのですが、その日の鮭がいつ上がってくるのかは鮭のみぞ知る。残念ですが私はちょっとだけ間に合わず、間に合ったライダーさんから写真をお借りしました!
ありがとうござます!来年はこの手で鮭をつかみたいと、強く思う次第です。
隣の処理加工施設では上がったばかりの鮭やイクラも売ってます。
どの鮭も立派で迫力!
しかし、新鮮すぎてケースの中で動いてるのには驚かされました…!
一尾丸ごと買う勇気が持てない人のために(?)、切り身の鮭もありました。色が濃くておいしそう!
鮭やイクラをここで購入するとフィニッシュポイントまで配送しておいてくれるそうです!
お昼ご飯も、指定のお店ならポイントが付きます。
都内ではお目にかからないウニを使った晩酌セット!しかしライド中なのでアルコールはぐっと我慢。
なごみ家の「なごみラーメン塩味(麺大盛)」。しょっぱいもの、体に染みます。
その後、日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」にも立ち寄ってみました。
展望室に行けるということでエントランスを抜けて4階へ。
人工・自然の芝のコートが全部で8面。一度に見渡せます。
この施設は原発事故収束のための中継基地として機能していたことがあり、その際はサッカーコートの芝をはがして駐車場として提供されていたそう。
1階に戻ると男性ライダーチームに出会いました。
3人で記念撮影をしようと話になりました。
後ろにあるサッカー選手像と同じポーズをしてほしいと、せがむ私に快く答えてくれた3人。お茶目な写真が撮れました!
さて、そろそろ午後14時。制限時間が迫ってきました。
ゴールポイントへ続々と帰還するライダーたち。
おかえりなさい!!お疲れ様でしたー!
到着したらまずはゴールの報告!制限時間前に帰ってくるとボーナスポイントがもらえます。
「おなか減ったでしょう!」とすいとんの振る舞いが!
温かいすいとんで一休みし、展望台も近いので、終了時間まで飽きません。
ゴールポイントまで向かう際、親子ペアのチームに連れてきてもらったのですが、私がちゃんとついてきているか気を配ってくれたり、ハンドサインで知らせてくれたのが彼。頼もしくてありがたかった!
一休み終えたライダーさん。しょっぱいもの食べたら甘いものも欲しくなる!わかります。わかるので、どこで買ったか教えてください。
隣接のジェラートショップでデザートをゲット!
チームごと、得点を計算します。
地元の食べ物・飲み物なども当たるくじ引き参加賞は一人1回づつ引くことができます。
一位は、広野町の日本酒『初代鶩(あひる)』。「これは、帰りの電車で飲んじゃうなー、コマッタコマッタ」
一息つくライダーたち。
1日通して、食べて走って、順位はさておきみんな満足そう!
名残惜しいお別れ。「また来年!」
あっという間に日の暮れる竜田駅。帰りの時間が迫り、迎えの電車がやってきました。
俺たちの電車がきたぞー。
地元のスタッフの皆さんやライダーがお見送りしてくれました。
またね!
現地のライダーやスタッフの皆さんとの名残惜しいお別れが済んだら、東京に向けて打ち上げスタート!
行きの電車は我慢したけど、帰りの電車はアルコール解禁★!お疲れ様でした!
イベントを終えて感じたこと
イベントが終わるころには、参加者同士はすっかり仲間に。「また来年!」と言って別れる様子が印象的に残りました。
スタッフが常に参加者と交流を楽しんでいることから、男性だけでなく女性のお1人参加が多いのも納得。ベテランライダーは時に初参加者のサポートとして立ち回る気配りをくださったり、「みんなで盛り上げ、みんなで楽しむ」雰囲気が培われていました。
参加する前まで感じていた「復興支援」という言葉へのわずかな緊張感は全く不要なものだったと今になってわかります。このイベントを通じて楽しみ、土地に親しむことが自然と支援を盛り上げる仕組みになっているのでした。
最後となりますが、長期間にわたる準備と、土日2日間まるまるサポートしてくださったスタッフの皆様、また心よく同行やお写真に応じてくださったライダーの皆様、ありがとうございました!